皆様
大変ごぶさたしております。JPRESERVEの宮本でございます。
先日、10月1日より当社ではゴミの完全分別の取組みを開始致しました。こちらを見られている方は、ピンと来られていると思いますが、現在、民泊に対して特に、事業ゴミの収集契約について積極的な行政指導が行われているのはご承知のことと思います。また、収集契約しようにも、収集業者が民泊の収集を受け付けない(要は事業ゴミとして徹底的な分別を行政が指導しており、そのまま出てしまう民泊のゴミはお断り)。
という状況が見られています。収集業者さんも小規模の所は、実態を理解せよと強く行政に申し出て、比較的非分別でも受け入れさせることができる力のある会社さんもいらっしゃいますが、皆さん口をそろえて「京都市のスイッチが入れば無理になります」という言葉です・・
当社も予備知識も無く、民泊を始めているので、もちろん「弊社が事業主で無い施設であっても、清掃担当者が持ち帰り」しておりましたし、住民様へご迷惑をかけない為と思って現地から運営代行施設のゴミを持ち知らずに持ち帰りしておりました。
ところが、こちらは、違法なんですね。本日は細かなことは割愛しますが収集運搬の許可を持たない者がゴミを持ち運ぶことはできないんです。
今、色んな民泊の運営者の方が、実態に即さない、これは実際の運営をわからずに公務員の担当者が杓子定規に決めている。絶対に不可能だと、様々に働きかけられているようです。しかし、赤信号みんなでわたれば・・・の状態で言いたいことを言うのではなく、一回は、戻って赤信号で止まってみましょうというのが当社のモット―。ゴミの分別にお客様、弊社スタッフともども取り組んできたことをご報告しようと思います。
◆分別のマニュアルと分別のレクチャーについて
以前、皆様に告知(誰が見ているのかわかりませんが)当社の作り上げたゴミ分別マニュアルを公開し、広く活用頂きたいとお約束しておりましたので、UPさせていただきます。
こちらは実際に民泊を利用するお客様が日本に来て特に買いそうなものを買い、実際に食べて、その後の適正処理を当社みんなで行いマニュアルにしたものです。今では食べ物を買うときにゴミになることを考えて買いますし、リフォームをする時もゴミを最初から分別することを意識してゴミ捨て場の構築から行うようになっています(笑)
お伝え遅れましたが、民泊に特に指導が行われているゴミについて概ねの種類を記載致します。特にやっかいなのが廃プラを含む、産業廃棄物です。マニュアルを見て頂くと殆どそのことに始終しています。行政が注目するのは再生可能紙が1位、プラが2位です。紙は比較的簡易に分別ができます。
①一般廃棄物 いわゆる燃えるゴミです。この中には、ビニール袋、プラスチックなど、化石燃料から合成された製品は入れることが一切できません。収集業者さん自体もこれを持ち帰って市のクリーンセンターに持ち込むときに非分別だと受け取り拒否、ひいては行政処分を受け始めているので結構シリアスになりつつあります。
②産業廃棄物 私共、市民の分別とまったく異なる概念なのが、この産業廃棄物です。通常、リサイクル資源として回収している廃プラスチックは、事業ゴミでは産業廃棄物として扱われます。そして、こちらで最も恐ろしいのは、「生ものがついているもの」は一切受け取り拒否になってきています。どんな物でもごちゃまぜと言っては語弊がありますが、そんな状態で処分できるものが産業廃棄物。しかし、これに、生ものが付着して臭気を発するものは一切受け付けしない。そしてこれは、一般廃棄物のようなかなり安価な定期収集という形は無く、専用の廃棄物運搬車と処分地が必要となり簡単に言うとかなり一回あたりの収集と処分は高額です(量によらず1万円程度)。事業主自身が回収し、産廃処分所に持ち込めば、軽トラック満載でも2,000円かかりません。要は、この仕組みが、施設に大量の産廃をストックできるだけし、限界まで溜まった時に別途、産廃収集を依頼するという構図を生み出しています。
⇒コンビニ弁当、ラーメン、サンドイッチの包装ビニール、ヨーグルト等々。民泊を利用される方に大人気なコンビニ食材はほぼほぼこれらでしめられています。これが最も難しいゴミで、結論から言うと、お客様に徹底した分別と洗浄をお願いし、当社でもそのチェックを行い、できていなければ徹底して対処しなければならないという状態になります。もちろん、長期保管を行う為、安易な洗浄では、保管している間に臭い、腐敗、虫の発生などを招きます。
③スチール缶④アルミ缶⑤ペットボトル⑥再生紙⑦ビン(ガラス類)他にライター、電池などの危険物。これらの分別は非常に簡単です。
分別マニュアルについて(本来は5種でいいのですが民泊において、お客様に伝えやすく、清掃担当者が適正に分けやすいよう7種にしています。あくまで営利目的でなく、社内用の無料でのおすそわけということで著作権の部分で指摘があればすぐにクローズする予定です(笑))
https://drive.google.com/open?id=1ti2iG_dGrlfErwFxmh_DSHHuIsYl2hwR
思いを同じくした民泊業者さんに活用頂きたいです!
◆取組み開始までに2か月の社内スタッフと分別、廃プラ洗浄の日々、ゴミのサンプル作り・・・
こちらは当社のスタッフで食べた物を洗浄した廃プラ類です。
こちらをお客様のチェックイン時にバッグで持参して説明します。このサンプルを作るのも大変です・・・
普段食べないカップラーメンなどもそうです。有名店の・・・というネーミングがつく商品は難易度の高い廃プラが集中しています。
そして、日本のレトルト技術に驚かされます。大変丈夫で、液体などが滅多なことでは漏れない!すなわち、ゴミになったときには非常に洗浄の難易度が高いものに生まれ変わることを意味します・・・
◆お客様の反応
わかりきっていたことですが、クレイジーだ、ばかなんじゃないの!?という言葉で始まります。そりゃそうです。ゴミを綺麗に美しく仕上げるのはどこの国でも行っていません。私達もお客様にクレイジーなお願いです。と言います(笑)
しかし、京都の法令はとても厳しいこと、そして、あなた達がしなければ当社のスタッフがそれを行うこと。そのストレスやや作業時間を考えてもらっています。
厳しいですが、非分別のお客様には3,000円の罰金を科すことも周知しています。
◆結果に歓喜しています。
結論から言うと、2割のお客様が完璧に廃プラを洗浄した状態で、適正に分別した形に協力してくれています。
そして、他の6割の方は、完璧では無いにしても、何等かの努力が強く感じられます。(種類分けは殆どできている状態です)、悲しいことですが残りの2割は協力してくれていません。(というかゴミが異常に少なく、買ったコンビニなどにゴミを戻しているパターンと外食に統一するパターンです)
これほど清潔な状態でゴミを出していただけるとは当社も驚いております。もちろん、毎度清掃の時にはゴミ分別の専門スタッフが向かい再分別、適正な洗浄を行うなどの「仕上げ」が必要不可欠ですが、想定した以上にゴミの状態が良いです。
●これはお客様が洗浄して廃棄した廃プラです。
ゴミ袋を見て頂ければわかるかと思いますが、UFOらしきものを食べていますが、ゴミ袋には一切付着していません。
このように整った状態で捨ててくるとは思わないでしょう?これが結構な頻度で続きます。クレイジーだ、クレイジーだと言われても。
「やってくれる。」本当に感激です。
●産業廃棄物(廃プラ)保管庫の様子
これは、寝室の押入れに作った廃プラの保管庫です。ベランダや、収納も無く、玄関先も一般廃棄物のストッカーがあるので、必然的に室内における限りの産廃保管ボックスを設置します。お客様には扉の鍵をしめて見せないようにしています。こちらの見た目は悪そうですが、顔を入れても清潔感の匂いがする「お客様と弊社のスタッフが手塩にかけて仕上げた美しいゴミ」です。
●一般廃棄物
これは、10日程度のお客様の一般廃棄物(もえるゴミです)。この間、お客様は5名グループが2組来ている状態です。こんなにも燃やせるゴミが僅かなのかと改めて驚きます。いかに、日本のゴミ、私達が排出するゴミはプラスチックで構成されていることがわかります。燃やせるゴミは私達の身の回りには殆ど無いということですね。
余談
私のよく出入りさせて頂いている処分所では、夕方5時の受け入れ終了後、この廃プラを汚れている物、汚れておらずクリーンセンターへ出せる物を従業員の方々全員で仕分けし、はねている光景は本当につらい仕事だと思います。私共と扱う分量とは格段に異なるのですから。そのような状況になっている状況でありますが、ゴミの分別・収集についての業務が増えることを打診してもなかなかご理解を頂けないオーナー様もいらっしゃいます。事情は理解はできるのですが、「はじめからしなければいけないことが出来ていないのだから、対処することが当然」ということへ改めて気づいて頂きたいものです。
また、一生懸命洗浄して美しい廃プラを、産業廃棄物として廃棄しにいきましたが、パッカー車へ吸い込まれていく様子を見たとき、あんなに美しく「売ってもいいほど」と思える、手塩にかけた廃プラを見て、とても複雑な思いでした。
ホテルや集合型の施設では、専門の従業員の方が集約されたゴミ置き場で分別することは可能です。しかし、50㎡程度の民泊で、これを行うことはほぼ無理と言ってもいいでしょう。しかし、限界まで頑張ってみた結果、なんとかやれるということを実感し始めています。本当にここまで協力してくれる宿泊者の方には感謝の気持ちでいっぱいです。特に中国の方は、事前に出国の際に国からこれらの教育を受けているのであまり驚かれないそうですが、当社の分別には異次元の物を感じるようです。しかし、彼らは一番協力してくれています。まあ、ご想像しやすい点としては、これらに一切協力を示さないのは日本人のお客様です。わかっていたことですが、なんだかやるせないですね。
また、そもそも、施設を新たに開設する際にはゴミのことを先に考えておくということも今後のキーワードです。
当社は対面で、いかなる場合でもチェックインの時に会って、注意事項の説明とパスポート情報の取得を行っております。何より、迷惑行為を徹底して防止する目的があり、多数の施設を管理する中でこれらの調整ができるスキームやノウハウを作り上げるには大変な時間と、なによりも多大な教育時間を割きました。しかし、今回のゴミの適正分別は、それらよりもはるかかなたの次元に存在する高い高いハードルでした。
法令に対応することを真摯に行っていますが、当社がオーナー様に提示する額は、上記にあげる対面チェックイン、ゴミの分別を行わない企業よりも高くなっていかざるを得ません。当社のポリシーについてきてくれているオーナー様にも宿泊税の負担増もあり、限界が近く、違法な運営をされる会社へ委託替えを行うオーナー様も出てきています。正直に真面目に法令通りにやっていても、他がやっていないのだからそちらに流れる。悲しいですが、京都全体がそのような状態です。まじめにやっている者がバカをみる。そんな状態に、もはや、なってきています。
引き続き頑張ってみようと思います。これ以上はもうないと願いつつ。そして当社の方針を貫いて経営が成り立つのか。京都全体がそのようにならなければ引き続きバカを見る状態は続きます。
それではまた。
PS
当社の施設外玄関帳場とセットで許可申請をした直営施設が完成しました。はじめての当社の町屋タイプで、戦前の航空写真にもある、井戸のある家です。昨今主流の天井の高い、現代風町屋ではなく、ガチンコの町屋です。天井高は2mありませんし、建物前後の妻入りの屋根の仕様で普通に2Fは天井が傾斜していますので、2Fの寝室ではしょっちゅう頭をうちます。日本人の平均身長が170そこそこの時代の物で、現代には合わない、不便な物です。それなのに、玄関は異常に広く、入ってすぐに吹き抜けを設け、そこで商売をできるようにしてあるのは、京都の商売人の見栄が感じられる、まさに「そとづらばっかり気にして作った家」です。見た目も中身もほんとに京都人のどろどろした部分をわかる人は感じれる(笑)町屋になっております。本当は町屋条例の適用も受けれたと思いますが、施設外玄関帳場を使う事で帳場もいらないので、同じことなので施設外玄関帳場つきの申請で進めました。
営業許可を受け次第、募集を開始しますが、レビューに頭を打つ家!と書かれるんだろうな~。
この施設が様々な国の方に京都の昔の暮らしが本当は不自由なことが、逆に受けることを願いつつ。果たして吉とでるのか。吉になってもらわないと困りますが、当社の愛する施設がまた一つ誕生します。